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トピックス・インタビュー33

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INTERVIEW
子どもとおとなのための◎読み聞かせ+ソロパフォーマンス『お話の森+ひとりでシェイクスピア』ROLLY×小林顕作インタビュー
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絵本や童話など、さまざまな物語を個性的なアーティストが独自の演出で読み聞かせてくれる、大人も子どもも楽しめる企画、それが『お話の森』です。2013年冬に続き、二度目の登場となる読み手は、ミュージシャンのROLLYさんと俳優、演出家の小林顕作さん。意外なことに、長くお話しするのはこの日が初めてというお二人でしたが、取材冒頭、強風にあおられながらのあうるすぽっと屋上での撮影で盛り上がったあとは、リラックスした超マイペース・トークに花が咲きました。絵本の魅力、子どもたちとの交流、こだわりたっぷりの舞台裏がお喋りから覗きます。

2013.5 INTERVIEW

――お二人は、今日がほぼ「はじめまして」の状態だそうですね。

小林:実は、僕の出演していたミュージカルにROLLYさんがゲストで来られたことがあって。そのときご挨拶だけはさせていただいたんですよね。でも、『お話の森』はいつも別日になるので、拝見したことはなくて。

ROLLY:あぁ、水野美紀さんの企画した舞台でしたね。僕も顕作さんの読み聞かせは観てませんが、舞台上に四畳半の部屋とちゃぶ台を仕込んでいるセットだけは見たことがあって。「こういうことを考える人は、きっと好奇心旺盛で面白い人だろうな」と思っていました。他の方の回を観たことがないから、妄想だけが膨らんでしまうんですよ。鎖国状態のなか、それぞれが独自の進化を遂げているんじゃないか、とか。

小林:僕が所属する「コンドルズ」の近藤良平もやっていますが、僕はそれも観たことがない。全然違うんでしょうね、皆さんきっと。

――お二人をはじめ、読み手は豪華で大人にも嬉しい方ばかり。そのうえ選ばれている絵本も、非常に斬新で個性的だと思います。

小林:ROLLYさんも絵本中心なんですか?

ROLLY:小説も、自分が書いたものも読みますね。あとね、楽屋に置いてあるお菓子の箱に同封されている商品やブランドの由来の紙とか。たとえば……チョコレートのゴディバのマークをご存知ですか?

小林:いえ、名前のロゴだけじゃないんですか?

ROLLY:裸の女性が馬に乗っている絵なんです。これがゴディバ夫人。夫のレオフリック伯爵が重税を課していることを諌めたところ、夫は「裸で馬に乗り町を一周したら、税を下げてやる」と言う。夫人はそれを実行し、町の人々は夫人のために窓を閉ざして見ないようにした、という伝説がありまして。なのに一人だけ覗いたのが、ピーピング・トムという男!(と、かなり芝居調に説明)

小林:その、ピーピング・トム(覗き屋、の意味)って聞いたことありますね。で、なぜゴディバはその夫人の名前を自社につけたんですか?

ROLLY:市民を思う夫人の優しい気持ちに感銘を受けて、社名にしたと。

小林:えー、でも税を下げてくれた人に因んだわりにはゴディバのチョコは高いですよね。

ROLLY:高級だからいいんじゃないですか! ありがたみがあるでしょう、これが駄菓子では説得力がありません!! いや、まあ話を戻しますと、そういう説明書きや企業案内を、ひどく大層なもののように読んだりもします、ハイ。僕はギター・シンセサイザーとボーカル・マシンがあるので、それらを歌にしたり、伴奏をつけたりしながら。顕作さんのちゃぶ台セットは、どういう意図からなんですか?

小林:途中で読み疲れてきたら、お茶を飲んだりお菓子食べたりしたいな、と思って(笑)。僕、結構ちびっ子を挑発して、わざと野次を飛ばさせたりするんです。そのとき、「疲れたからお菓子食べよー」とか言って、見せつけるのは非常に有効。「ずるーい! ちょーだい!!」とか、いくら言っても僕は何も答えない、みたいな(笑)。

ROLLY:どんなものを食べていらっしゃるんですか?

小林:スタッフさんが用意してくださるものを。ツアー中はご当地銘菓なども出てきて楽しいですよ。

ROLLY:センスが問われますね、スタッフさんも。顕作さん、そんなに津々浦々で読み聞かせているんですか?(と、ちょっと羨ましげ)

小林:結構あちこちでやらせていただいてますね。

ROLLY:僕はまだ東京と大阪、松本で一回やっただけなんで。本当は47都道府県に飽き足らず、すべての市町村でやりたいくらいなんですが。

 

――すごい意気込みですね。もはやライフワークのような。

ROLLY:何せ労力がかかりませんから(小林爆笑)、嘘です。本当はコッソリ練習しているし、仕事先でフラッと入った本屋さんでも、オモロい絵本ないかなとか普段から探しているんですよ。地獄で罪人の拷問用にからーいラーメンを作ったところ、天国まで評判が届いて出前で忙しくなってしまう「じごくのラーメンや」とか、恋人と喧嘩したブタの女の子が、怒りのエネルギーでギョーザを焼く「いかりのギョーザ」とか。

小林:(笑)おもしろ過ぎる。僕は自分ではほとんど選ばないんです。劇場の方が用意してくださった絵本を、DJのように構成を考えつつ並べ、読んでいくという感じで。去年のヒット作は「ほげちゃん」。ご存知ですか?

ROLLY:ソレは知りません。

小林:ある日、家にぬいぐるみが送られてくる。お父さんには「ほげちゃん」というヘンな名前をつけられ、お母さんにはクマなのにカバに間違えられる。娘のゆうちゃんとは仲良くなるけど、家族が外出したとき、急にほげちゃんは動き出し、家の中をめちゃめちゃにする、という。

ROLLY:で、そこにはどんな教訓があるんですか?

小林:え?

ROLLY:子どもの本は、「嘘をついてはいけません」とか「約束は守りましょう」とか、最後ためになることが含まれていたりするじゃないですか。

小林:あぁ……これにはないんじゃないですか。だって、家族が帰ったときほげちゃんはまた動かなくなっていて、散らかった部屋は飼い猫のせいになる。ほげちゃんは、キレイに洗濯までしてもらい、めでたしめでたし、という不思議なお話なので。

ROLLY:パンク野郎ですね、ほげちゃんは(小林笑)。

――客席には保護者の方もいらっしゃいますが、子どもの観客に対し、特に心がけていることなどあるのでしょうか?

ROLLY:僕は最初に必ず怖がらせる、泣かせるようなことをしますね。去年はステージ上に、『犬神家の一族』に出てくる、佐清(=すけきよ。湖から足が2本突き出した、逆立ちの状態で死んでいるところを発見される)の足を置きました(小林笑)。お線香も焚きましたし。でも、子どもたち喜んでましたけどね。

小林:わかります、特別、子どもを相手にしていると思う必要もないんじゃないですか?

ROLLY:子どもは子ども扱いされるのがイヤですよね。だから僕は大人として扱う、ちょっと小バカにしつつも(笑)。

小林:(笑)それ、完全に大人目線じゃないですか!

ROLLY:冗談です! でもネットで読み聞かせの動画を見たことがあるんですが、別にキャラを演じもせず、ゆっくりわかりやすく読むのが普通みたいですね。

小林:確かに。ゆっくりした言い回しで聞き取りやすく、という定型があるみたいです。でも僕は、必死に聞かないと追いつけないくらいのテンポで読む、「こっち来い!」くらいのスタンスかな。

ROLLY:(肩をすくめ)随分と乱暴な方だ。

小林:(笑)ROLLYさんの乱暴さには及びません。そのくらい対等でいたいんですよ、子どもたちとは。だから野次も飛ばさせるわけで。

ROLLY:同感です。僕は読み聞かせを通して、子どもたちにスリルを味わって欲しいんです。それに、保護者の方にもアピールしたい。お金を出してくださるのは、大人ですから。

――確かに、子どもたちのツボと大人が沸く場面は、全く違うところが興味深く感じました。

ROLLY:子どもは“プンプンプン、プリプリプリッ!!”みたいな擬音語には、釣りの入れ食い状態で食いついてくる。同時に大人には、冒頭で、「本日の公演は、この日のために吟味に吟味を重ねた絵本を、最高の状態でお聞かせすべく切磋琢磨を重ねた、最上の公演と自負するものでございます」と、コワいくらい丁寧に前説します。だから僕の回は、リピーター率が高いんです。数えたことはないけれど、そんな予感がします(笑)。小林さん、劇中で音楽は使わないんですか?

小林:ROLLYさんほどではないけれど、僕も音楽はやるので途中で「じゃ、歌うか!」みたいな感じでやります。Eテレの『みいつけた!』でやっている、オフロスキーの歌とか。あとはリクエストで曲を募り、全然テキトーな嘘の歌を歌って、また野次を飛ばさせたり(笑)。

ROLLY:小林さん、子ども好きでしょ。なんか、そんな匂いがプンプンします。ガキ大将タイプ、というのでしょうか。

小林:本当ですか? でも、確かに僕の目線は子どもたちと一緒かも知れない。現実社会と同じで、相性の良いヤツも悪いヤツも、子どものなかにだっていて当然じゃないですか。

ROLLY:その通りです。ま、僕の場合は登場から威圧していくので、反抗的な態度は取れませんが、子どもたちも(笑)。その代わり、楽器は珍しいらしく演奏しているときは、夢中になって見ていたりもします。そうやって、いろいろなことに、この舞台をきっかけにして興味を持ってもらえたらいいな、と思うんですが。それと同時に、家では絶対再現不可能な「ワザ」も見せておかないと。終演後、会場では読んだ絵本も売っていて、たくさんの方が買ってくださるのですが、「家ではこんなに楽しくはならないヨ、そうは問屋が卸さない!」と敢えて言いたい。

小林:それは大いに賛成です!!

ROLLY:独自の進化を重ねて来たから、こうしてまた、あうるすぽっとでもやらせていただけるわけで、停滞したらば自然淘汰されてしまいますからね。

――小林さんも、回を重ねるごとの「進化」は感じていらっしゃるのですか?

小林:手応えというか……「どこに肝を持ってくるか」は、常に考えています。子どもに人気のありそうな絵本はコレ。それを何番目に読み、その間をどう繋げるかで全体のニュアンスも変わってくる。やりながら変わっていくニュアンスごと、楽しめたらいいなと。僕もROLLYさんと一緒で、終演後に本を買っていってくれる子どもたちを見ていると、僕のやったことを少しでも持ち帰ってくれるんだ、と思って嬉しくなりますよ。

ROLLY:本当に、錬金術みたいなものだと思います、我々アーティストがやっていることは。木の葉一枚を、何かとても価値の大きなもののように見せるテクニックや感性が、我々をアーティストたらしめている、この世界に生かしていると言ってもいいのではないでしょうか。

小林:しかし、ROLLYさんからちゃんとお話を伺うのは今日が初めてですが、一つ一つのエピソードを詳しく聞かせてくださるじゃないですか。で、どんな読み聞かせか段々分かってくるのかと思っていたら、個々の話が全然繋がっていなくて、逆に実態がつかめない(笑)。ヒントが詳しすぎるんです。すごいなと思いますね。

ROLLY:そうですか?……僕は自分がやってるから、完全に分かってるんですけどね。

小林:そりゃそうですよ!

ROLLY:話は飛びますが、最近、救命士の方の話を聞く機会があって。死の間際に人が何をどうするか、事例を教えていただいたんです。だいたいの人が、誰かに許しを請うんだそうです。家族とか身近な人に。あとは「自分のことを覚えていて欲しい」と、救命士の人に対して。その意味ではね、僕は『お話の森』を介して、僕がこの地球に生きた証を残したい。

小林:確かに僕も40代半ばが近づいて、最近「いかに死ぬか」とか、考えるようになりましたからね。

ROLLY:ありますね。「いかに死ぬか」を考えることは、「いかに生きるか」を考えるに等しいと言った人がいましたよね、確か。

小林:そうですね。

ROLLY:実際、年々、1年が過ぎるのが早く感じられるようになってきている。そのなかで、演劇の勉強などしたこともない、大阪の工業高校を末席で卒業しただけの僕のような者が、立派な劇場の舞台に一人で立たせていただく、この『お話の森』は、非常にありがたく貴重な機会だと思っているんです。それを生かすべく、今回も全力を尽くします。

小林:急にまとめに入られましたね(笑)。

ROLLY:もうね、絵本と音楽をどこでどう合わせるか、プレイリストも現時点でカンペキです。

小林:僕は、どこの劇場でやらせていただくときも一緒。むしろ何も変えたくない、いつもゼロから始める気持ちでいたいし、その日ごとに何が起こるかわからない状態にしておきたいんです。同時に、ROLLYさんもそうだと思うんですが、僕らが舞台に出たとたんに、何かが「成立」しているとも思っていて。それが表現を仕事にしている者の、存在の仕方というか。
でも、そんなことを考えていると、ROLLYさんや他の方の『お話の森』も観たくなってきますね。 今までは僕なりの尊敬を込めて、観ないでいたんです。影響されたりもしそうだし。

ROLLY:僕は批評家になりそうでコワいですね。

小林:その、ROLLYさんの批評を、僕なんか素直に聞いちゃいそうだから(笑)。でも、今は皆さんそれぞれの「腕」を見せていただいて、そのうえで自分のできることを自分なりにやればいいと思えるような気がします。まずはROLLYさんの舞台を、ピーピング・トムしちゃいますよ。「威圧するって言ってたのに、結構下手に出てるじゃん」とか(笑)。

ROLLY:ま、それは見てのお楽しみですね(笑)。

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小林顕作
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タイアップ公演
子どもとおとなのための◎読み聞かせ+ソロパフォーマンス
『お話の森+ひとりでシェイクスピア』

2015年6月5日(金曜)〜7日(日曜)

今年は初夏に!
個性豊かな2人と一緒に「お話の森」散策

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