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トピックス・インタビュー05

05 「まどろみ」 倉持裕さん×ともさかりえさん INTERVIEW
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INTERVIEW 観る人を虚実の狭間に引き込む作風が魅力の、劇作家・演出家の倉持裕さん。新作『まどろみ』に出演する、ともさか りえさんと作品を巡り幅広くお話していただきました。
2008|05|15 公演詳細 Question

お二人はこの舞台で初めてご一緒されるそうですね。

倉持裕さん:2年前にともさかさんが出演された舞台『ヴァージニア・ウルフなんか怖くない?』を拝見していましたが、その時は演出のケラリーノ・サンドロヴィッチさんを訪ねたものの、ともさかさんとはお会いしなかったんです。
ともさかりえさん:私はご覧頂いたのも知らなくて。ただ、夫の河原(雅彦さん。劇作家・演出家・俳優)が倉持さんの作品に出演したことがあったので、近くにいる方という印象はあったんです。きちんと作品を拝見したのは去年が初めてですが、すぐに「好き!」と思ってしまった。倉持さんの作品は私にとって、絶対的な居心地の悪さや独特のイヤな空気と、それとは真逆の不思議な心地良さが共存しているもの。舞台経験が少なく、自分としては「演劇は観る立場」といまだに思っている私には珍しく、「演じてみたい、倉持さんの書く言葉をしゃべりたい」と思えました。いつかご一緒したいと膨らませていた妄想が、今回実現したんです(笑)。
倉持さん:光栄です(笑)。僕も拝見した舞台でのともさかさんの印象が、それまで映画やドラマで見ていた印象と全く違ってとても興味深かったんです。僕の中でともさかさんは「キッチリした女性」役が多く、また似合う女優さんだったのに、演じたハネーという女性はひどく酔って内に秘めていた不満を爆発させる役で、その「崩れている感じ」がすごく魅力的だった。きっと面白いことが一緒に出来る女優さんだと思ったんです。
その時の思いが、この『まどろみ』という作品、以前から暖めていたホラー的な要素もある戯曲を書く過程で甦り、中心人物であるトツミという女性を演じてもらいたいとイメージが膨らんだ。出演を快諾いただけて、僕もうれしかったんです。

完成した戯曲を読んで、ともさかさんはどんな印象を持たれたのでしょう。

ともさかさん:本を頂いたあと音読もしてみて、非常にしっくり来るなという実感がありました。演じるためには越えなければいけない課題もたくさんある、難しさもあるのだけれど、今の私に必要だったり、あるいは私がやってみたいと思うようなことが書かれているんです。映像作品ではどうしても求められる役のイメージが固定しがちで、それを飛び越えて新たな表現や演技を探すのは、一人ではなかなかできないこと。でも倉持さんは、『ヴァージニア〜』を通してケラさんが私に挑戦させてくれたのと同じように、私の中の新たな可能性を見つけ出して下さろうとしてこの役を書いて下さった気がして。と、勝手にうれしく思っています(笑)。

倉持さんはトツミをどういう女性として書かれたのですか?

倉持さん:近藤公園さん演じるレイジの婚約者で、看護士をしている女性です。結婚も間近になってレイジが実は裕福な家のボンボンだと知り、それによって金目当てでつき合っていたと周りに思われているのでは、とか実は自分もお金が欲しかったのか、本当に愛しているのか、と色々葛藤を抱えていて、恋愛も仕事もほとんど意地で続けているような状況にいる。行動にいちいち無理があって、理想と感情が遊離している女、でしょうか。
この作品に限らず、僕は「もう少し普通に対応すれば、こんなヒドイことにならなかったのでは?」というニュアンスの話が好きなんです。関係者が少しずつ選択を間違え、最後にはとんでもないところに行ってしまう。今の世の中には、現実にもそんな小さな選択ミスから始まる大小の事件がとても多いじゃないですか。

それを描くことに、すごく心惹かれるんです。
ともさかさん:その、ちょっとした選択ミスを積み重ねていく過程に、すごく緊張感があるんです。一瞬でも緩むと、物語の流れを壊してしまいそうなほど。トツミは特に思いをひた隠しにしていて、それによって逆に感情が不安定になっていく、微妙な精神状況にある。面白いなと読み進められ一方で、自分でどう演じるかまだ想像もつきません。楽しみな反面この期待だけで十分、「本番はタイヘンだそうだから演らなくていいかも…」とも思うんですよね(笑)。

レイジは作家という設定ですが、劇作家である倉持さんが作家を描くことに特別な思い入れなどはあるのでしょうか?

倉持さん:実はあまりないんです。よく言われるような作家的な面を書き込んでいるわけではないし、変なことをしたり考えたりする人物が作家、というのは職業を免罪符にしているみたいで、楽なほうに行ったなとか思われたくないじゃないですか(笑)。かといってリアルな作家を書くのも、何だか愚痴っぽい気がする…。でも、ともさかさんは作家さんと暮らしているから(ご主人は劇作家・演出家・俳優の河原雅彦さん)、作家に対する距離や空気をリアルにご存知ですよね? それは稽古の段階で何か生かせるかも知れないな。
ともさかさん:確かにトツミが気を使うところなど、他人事とは思えません。経験が生かせるところがイヤかも(笑)。 倉持さん:僕はあまり周囲にプレッシャーをかけないタイプだと思います。妻は執筆中でも平気で部屋に入って来て、一方的にテレビの話をして行ったりしますから(笑)。
ともさかさん:うちは家のあちこちで書いていることがあって、「リビングで負のオーラを出すのはやめて欲しいなぁ」とか思います(笑)。

では最後に、お二人の『まどろみ』に対する意気込みをお聞かせ下さい。

ともさかさん:先に言ったとおり、倉持さんの戯曲は手強いところがたくさんありますが、その分めざすところまで辿りつく過程に面白いこと、発見がたくさんあると思うんです。舞台経験は少ないのですが、本当に毎回学ぶことが多くて。今回は、いつも以上に得るものがありそうで、それをとても楽しみにしています。取りあえず自分なりに、最悪の状況はシミュレーションしてからお話をお受けしたので(笑)、何とか頑張れると思います。
倉持さん:僕はともさかさんに、演劇をやることを一緒に楽しんで欲しいと思っているんです。演劇は「ここが海だ」と言えば、俳優も観客も全員で「確かに海だ」と納得して物語に参加してくれる。良い意味の共犯関係が生まれるメディアだと思うんです。その共犯関係を、観客の方々はもちろん、ともさかさんともしっかり結べる作品にしたいと考えています。

文:大堀久美子
スタイリング:福田麻琴
ヘアメイク:栗原里美(AIR NOTES)

Question(倉持裕さん)
Question(ともさかりえさん)

インタビューの最後に「あうるすぽっと」恒例の
『好きなもの+夢』アンケートを、お二人にもお伺いしました

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タイアップ公演

2008年5月15日(木)〜 5月25日(日)

M&Oplaysプロデュース

『まどろみ』

倉持裕、渾身の新作書き下ろし。
キャストに、ともさかりえ、近藤公園ほか、豪華キャストで贈る。

○作・演出:倉持 裕
○出演:ともさかりえ、近藤公園、村岡希美、玉置孝匡 六角精児

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