ベネチア・ビエンナーレ2007正式招聘作品であるこの新作ソロダンスが創り上げられるまでのことについて、お聞かせください。
思い出すのは、ビエンナーレ事務局からのご依頼で、打ち合わせのためにドイツに渡り、プロデューサーのイスマイル・イボ氏にお会いしたときのことです。そこでビエンナーレの共通テーマである「ボディ&エロス」をもとに新しい作品を、という依頼を受けました。そのときまでは、これまでの作品の中から選んでいこうと思っていたのですが…。
その日の夜、ホテルの部屋で考えを巡らせました。僕の作品はいつも、まず自分自身で絵を描いて、そこからイメージを膨らませて創作します。その夜も、ホテルにおいてあった白い便箋に、“獣(けもの)の絵”を描きました。そこから「自分にとってのエロスとは何か」を考え始めたのが、この作品の出発点となったのです。 |